「同級生」 中村明日美子著

まじめに、ゆっくり、恋をしよう 

珠玉の恋ものがたたりをあなたへ。

🄫中村明日美子/芳文社

高校二年生の夏、草壁光(くさかべ ひかる)は合唱祭前の練習中に、隣に立つ佐条利人(さじょう りひと)が歌わずに口パクしていることに気づいた。二人は同じ男子校の同じクラスに通う同級生だが、制服を着崩しバンド活動に勤しむ草壁と、眼鏡の優等生の佐条は、性質が違いろくに話したこともなかった。佐条は歌なんかくだらないと思って練習で手を抜いているのか、と草壁は不快になったが、その日の放課後、教室に残って一人で歌の練習をしている佐条を見つけた。佐条は音痴を気にして邪魔にならないようにと皆と一緒の時は歌うことを控え、克服しようと人知れず努力していたのだった。そんな彼のひたむきさに感心して草壁は練習に付き合うようになった。二人きりで歌う時間をすごすうちに草壁と佐条は互いに惹かれあっていき、合唱祭の日に唇を重ね、やがてひっそりと交際を始めるようになった。

登場人物の中で、草壁光(くさかべ ひかる)は、ピアスをつけ、髪を金色に染めた天然パーマの男性。初登場時は東府第一高等学校二年生。社交的で、学内の友人らとバンドを組みギターを担当。表情豊かで少々涙もろい。来る者拒まずで女性経験は豊富だが去る者追わずであまり本気になれたことはなく、佐条に対しての思いが初恋のようなものであった。佐条へ積極的に迫る攻め。
将来についてろくに考えず高校三年生になっても進路が漠然としているという有様だったが、明確な志望先を目指す佐条に影響されて真剣にミュージシャンになろうと決意し、小さな音楽事務所に所属し、アルバイトなどもしつつ励むようになった。
仲の良い友人らには、フランクに佐条との関係を話し、受け入れられている。未成年のうちから煙草を嗜んでいる。高校三年生時にバイク免許を取得し、大学進学後遠距離恋愛となった佐条に会いに行く際は専らバイクを使う。

一方の、佐条利人(さじょう りひと)は、眼鏡をかけ、直毛の黒髪の男性。初登場時は東府第一高等学校二年生。高校入試時に全ての学科で満点を取った秀才で、教師からの覚えめでたいが、草壁と付き合うまでは校内に親しい友人はいなかった。以前から同性愛指向を自覚しており、一年生の時は教師の原に惹かれていた。草壁と交際する上では受け。細身の体で、精神的にも繊細なところがあり、偏差値の高い高校への進学を志望していたが、試験当日に電車の中で気分を悪くして倒れてしまい受験に失敗し、その結果、名前を書けば誰でも入れると言われるほどレベルの低い高校に入学した。その時のことはトラウマのようになっており、電車に乗るのが苦手。

予備校にも通って勉学に勤しんだ結果、大学受験には成功し、父と祖父の母校である京都大学の薬学部に現役合格し、高校の開校以来の快挙となった。大学では友人にも恵まれ、数人には草壁との関係もカミングアウトしている。
本人はかっこつけた名であると、気にしている。

🄫中村明日美子/芳文社

この作品はいわゆるBLではあるのですが、アニメのキャッチ通り、「まじめに ゆっくり恋をしよう」というコンセプトに作られた作品です。思春期の男子高生が、初々しく思春期の特融のまどろこしさもともなって、不器用ながらも自分に正直にまっすぐな気持ちをもってほんとにほほえましい物語になっており、普段BL作品は読まない方でも絵の美しさ、作品を通しての優しさに十分幸せなひと時が味わえると思いますので十分楽しんでいただけると思います。

🄫中村明日美子/芳文社

※続編の作品の『卒業生』(そつぎょうせい)、『O.B.』、『blanc』などやスピンオフに当たる作品の『空と原』(そらとはら)あるので、同級生を読まれた方は是非続きおすすめします。
「卒業生」ではかなり心打たれるシーンもあったりして涙腺が思わずウルウルしそうになりました。

で、つい彼らの特別短編読みたさにイラスト集も買ってしましました(T_T;)

 

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