ベルサイユのばら 池田理代子著 マーガレットコミックス

少女マンガ黄金期1970年代、フランス革命が分かる古典の名作

フランス宮廷-そこは世界一華やかで贅沢さを競い合うセレブたちの憩いの場。時は18世紀、若き皇太子妃として、オーストリア・ハプスブルグ家よりマリー・アントワネットが嫁いでくる。皇太子夫妻を護衛するのは、男装の麗人・オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。宮廷では愛くるしいアントワネットへと人気が集う。また、スウエーデンでは後にアントワネットと恋に落ちるハンス・アクセル・フォンフェルゼンが生まれる。

🄫池田理代子/集英社

国王ルイ15世逝去により孫のルイ16世が即位。アントワネットはフランスの王妃となった。自己の栄達ばかりを願う人々に囲まれ、おしゃれで遊び好きな王妃の浪費ぶりは国家の財政難に拍車をかけてしまう。重税と貧困に喘ぐフランス民衆の非難の目は長年の敵対国であったオーストリアから嫁いだ王妃に向けられ、折からのフェルゼンとの不倫の噂は一層その憎悪を煽りたてた。そこには幾分かの憶測と国王の力を弱めようとする貴族の悪意を真に受けた誤解も含まれていたが、憎悪を膨らませる民衆の眼には王妃が元凶だとしか映らなかった。道ならぬ恋に苦しむ2人を見守るオスカルもまた秘めたる愛に耐えていたが、オスカルはそんな自身に身分ゆえに想いを口にすることすら出来ずに恋い焦がれるアンドレの想いに微塵も気づいていなかった。
宮廷中の貴婦人の憧れの的であるオスカルの初めての恋、王妃の恋人フェルゼンに対する片恋は叶うことはなかった。彼女の悲しみをそっと見守るオスカルの乳母の孫アンドレ・グランディエ。オスカルとは幼い時から兄弟以上に魂を寄せ合い、青春のすべてを分かち合って生きてきたアンドレ。いつしかアンドレはオスカルを深く愛するようになっていた。しかし、自身の普通の貴族令嬢としての幸福を諦めて男性として生きることと王妃だけを想うフェルゼンに対する片恋の苦悩しか見えないオスカルは、近すぎるアンドレの想いに気づくことが出来なかった。その頃、貴族の屋敷を襲う「黒い騎士」と名乗る盗賊を捕えたオスカルは、その男から民衆の不満の高まりを思い知らされる。それと相前後してコンティ大公妃の舞踏会で外国の伯爵夫人と称して自身と踊った貴婦人がオスカルだと気づいたフェルゼンと決別し、また、近すぎて視界にも入れずにいた不覚ゆえにアンドレの気も狂わんばかりの自身に対する恋心を知るのだった。

🄫池田理代子/集英社

黒い騎士ベルナールの訴えでパリ民衆の悲惨な状態を知ったこともあり、オスカルは王宮守護の近衛隊を辞めて衛兵隊を志願した。貧困と貴族の間にすら存在する格差ゆえに荒んだ部下と格闘の末に心を開かせて部隊を掌握した頃、ジャルジェ将軍は結婚話を持ちかける。求婚者は財産目当ての堕落した貴族と思いきや、元部下のジェローデルだった。彼は最初からオスカルを女性として見つめていたのだと告げるジェローデルを突っぱねるオスカル、恐れていた身分の壁の向こうでオスカルが誰かのものになってしまうと動揺するアンドレ。「黒い騎士」騒動の頃より自身を人形扱いしていると父レニエに反発するようになったオスカルは縁談もその一つだと思い込むも実は娘に男性としての人生を強いたことを悔いる父の親心だと母に諭され、自身のものにならないのならと無理心中を図ったアンドレも自身の過失から死刑にされかけてオスカルに救われ、彼女を守るという誓いを思い出してオスカルの毒殺を思い留まる。それを察したオスカルはジェローデルの想いに応えられないと「アンドレが不幸になれば、私も不幸になる。」とアンドレを愛しているかは自身でも理解できないながらも求婚を断る理由を真摯に告げ、それに納得したジェローデルは愛する人の不幸は我が身の不幸と潔く身を引くのだった。1789年5月5日。僧侶・貴族・平民からなる三部会が開かれた。国王・貴族と平民議員の対立は激化し、革命の色を帯びるのだった。7月13日、衛兵隊にパリ出動命令が下った。オスカルは暴徒に襲われた際に思わず「私のアンドレ」と口走って初めて長年影のように添い愛し続けてくれたアンドレを自身も愛していることを悟り、漸く彼の想いを受け入れる。出動前夜、永遠の愛を誓い2人は結ばれた。

🄫池田理代子/集英社

貧しさと王侯貴族の横暴に対する不満を爆発させた民衆の憎悪は革命にと繋がり、その焔は燎原の火のように全土に燃え広がる。オスカルと衛兵隊は民衆側につき、国王軍と戦う決心をする。激しい戦闘のさなか、アンドレが倒れた。そして1789年7月14日、バスティーユ陥落。民衆の勝利の歓声のなかでオスカルは静かに息絶えた。革命軍は、ベルサイユから国王一家をパリに移し監禁した。幽閉された王妃アントワネットの元に駆けつけ、アントワネットを愛するがゆえに国王一家の救出に奔走するフェルゼンだったが、運命の歯車を止めることは叶わず、ルイ16世に続きアントワネットもまた処刑された。失意の内に祖国スウェーデンに帰り着いたフェルゼンは、1810年、自身の罪の日と呪うヴァレンヌ失敗の日に民衆により惨殺された。

革命の嵐の中で一瞬の生を悔いなく生きた恋人たちの物語。

子どもの頃に読んだ差作品だったが、丁度時代は.1970年代の少女マンガ黄金期でもあり、とてもドラマチックかつダイナミックに描かれており、読み応えもあり、今日の自分を形成する一つの要素の一つになっている。
また、当時(1970年代)描かれる登場人物たちの精神年齢が高いことも現在のマンガと比べるとびっくりする。
生きるということの意味を考えさせられ、池田理代子得意の男性とは、女性とは、何を求め、どう愛し合うのか、どうすれば満たされるか?を壮大なストーリーの中で描いている。
また時代背景がフランス革命を交えているので、教科書などでは説明が難しいところを、マンガという媒体でわかりやすく、登場人物たちとうまくことを絡めながらフランス革命へと描いている。
特にオスカルは大貴族出身でありながら、民主主義に目覚め、最後は革命軍を加わるあたりなど、フランス市民の感情を反映していき、その具現化をしている気がしてならない。
また、一方のマリーアントワネットはこの作品では、とても無邪気で深く考えることをしない明るい娘に描かれており、政略結婚したため恋もしらず、女であるのに満たされない虚しさから、たくさんのドレスやアクセサリーで浪費したり、ポリニャック伯夫人の勧めでカジノで大金を失ったりしている。
それが祟り民衆に憎悪の的となるが、それを知るのはもう手遅れになってからだった。
史実ではマリーアントワネットはもう少し人物像は違うようだが、そこは少女マンガということで、わかりやすく感情移入しやすい書かれ方をしているようだ。
マリーアントワネットの愛人となる、フェルゼン伯も実に好青年で、情熱的で、まっすぐで志高く、マリーアントワネットに思いをよせていたため、その愛を貫こうと一生独身である誓いをたてる。 主な登場人物3人だが、それぞれが自分の道を信じ選び取った人生を命を懸けて悔いなく生きた物語だと思う。
絵柄は昔の70年代の絵柄ではあるので少し古さは感じるかもしれないが、貴族世界のラグジュアリーな部分は十分に堪能できると思う。
登場人物たちもしっかりかき分けられており、特に主要3人はとても美形で見栄がする。

余談ながら、ベルばらは週刊マーガレットで掲載されていたが、連載当初、オスカルはサブキャラだったそうだが、あまりの人気により、肝心のベルサイユのばらであるマリーアントワネットの裁判と処刑までは、オスカルの死後2か月半で連載終了してほしいと編集から言われて今の形で発行されている。
確かに今に読み返してみればみればオスカルの死後は展開が早いかもしれない。
でも、これはこれでありだと思う。



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