人間昆虫記 手塚治虫 秋田書店

本作の主人公の十村十枝子は転身を繰り返しながらマスコミ界を渡ってゆくが、竹内オサムは十村の姿を漫画界で転身と変質を繰り返してきた手塚治虫自身と重ね合わせて見ている。手塚は劇画の流行によって、ノイローゼになるほどだった。やがて、劇画の手法を取り入れ自己のものとした手塚は過去の自分自身を客観的に見据える視点を獲得するに至ったのではないかと、竹内は指摘している。手塚にとっても本作の連載を行った1970年代は自らの過去を意識した時代である。

©手塚治虫/秋田書店

主人公の本名臼場かげりの名前は昆虫のウスバカゲロウのもじりであるが、卵から幼虫、幼虫からサナギ、サナギから成虫へと変化する昆虫を変容する女性の象徴として用いている。メスが圧倒的に強く、女王世界でもある昆虫世界であり、石上三登志は『手塚治虫の奇妙な世界』(1977年、奇想天外社)で「昆虫学的女性論」という考察を残している。また、こういった変容する女性像は『メトロポリス』のミッチィのように初期手塚作品にも見受けられる。

手塚治虫先生が1970年代に描き上げた作品でありますが、現在読んでも新しく感じ取れる内容の漫画ですね。火曜サスペンス劇場に出てきてもおかしくない内容であり、
主人公の十村十枝子は転身を繰り返しながらマスコミ界を渡ってゆくが、才能の有る人物達の才能を奪いしかも大半の才能者は死に主人公の十村十枝子自身にはオリジナルの才能が有る訳ではないが、容姿端麗な為、人を魅了し思い通りに物事を運ぶ様は正に昆虫界の女王と云えるのだろう。令和の現在でも十二分に読める作品です。

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